発達障害
発達障害
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のかたよりによる障害です。
得意・不得意の凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。
発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。
そのため、発達障害の特性を「自分勝手」「わがまま」「困った子」などと捉えられ、「怠けている」「親の育て方が悪い」などと批判されることも少なくありません。
しかし、凸凹ゆえの困難さは、環境を調整し、特性に合った学びの機会を用意することで、軽減されると言われています。お子さまと周囲の人がその子の個性・能力・希望など理解した上で、その子に合ったサポートをしていくことが大切です。
発達障害の3つのタイプとグレーゾーン
発達障害の3つのタイプ
発達障害は一人ひとり症状や特性が異なり、様々な特性を併せ持っている人もいますが、大きく分けて以下の3つのタイプに分類されます。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害は先天的な発達障害の1つで、特徴として
@社会性と対人関係の障害
Aコミュニケーションや言葉の発達の遅れ
B行動や興味の偏り
の3つがあるといわれています。
従来、世界保健機関(WHO)の定めた国際疾病分類(ICD)やアメリカ精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)では、
アスペルガー症候群などとともに広汎性発達障害というカテゴリーのもと自閉症という診断が位置づけられていました。
2013年に刊行された「DSM-5」では、自閉症という障害名は廃止され、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の障害名のもとに統合されました。
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHDは、注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(思いつくと行動してしまう)といった症状が見られる障害です。ADHDは、これらの要素の現れ方の傾向は、「不注意優勢に存在」「多動・衝動優勢に存在」「混合して存在」というように人によって異なります。以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で、「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」に変更されました。
- 学習障害(LD)
学習障害(Learning Disability:LD)とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害のことです。LDのタイプは読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)に分かれています。
人によって症状の表れ方が異なったり、意識しないと気づかれにくいことも多く診断が難しい障害でもあります。
学習障害は、何らかの脳機能の障害が想定されていますが、脳の部位や原因は特定されていません。
発達障害に併存する障害や症状
- 自閉症スペクトラム障害とADHDに知的障害を併存している人もいます。光や音、味や匂い、触り心地などに敏感な感覚過敏や、反対に痛みや五感への刺激の反応が鈍い感覚鈍麻のある人も多いです。
他にも言語発達遅滞(言葉の遅れ)や協調運動障害、てんかん、チックなどの併存が見られる人もいます。
発達障害のグレーゾーン
- グレーゾーンとは発達障害の特性があるが、診断基準は満たさない状態を指す通称です。発達障害かどうかは数値のような明確な基準がないので、はっきりと見極めづらい状態にある人もいるのです。
診断基準を満たす場合と比べ困難は少ないと思われがちですが、理解や支援が得られにくいなど、グレーゾーンならではの悩みもあります。そのため、診断がなくても受けられる支援もあります。
発達障害の原因は?
- 発達障害は、生まれつき脳に何らかの機能障害があることで発症します。
ただし、発達障害の原因を明確に説明する根拠は、現時点ではまだありません。
また、原因は単一の要因ではなく複数の要因が関係しあう可能性が挙げられています。
脳の機能障害を引き起こす理由として遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。単一の遺伝子ではなく
、複合的な遺伝的要因と、様々な環境要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現すると考えられています。例えば、自閉症スペクトラム障害については、すでに研究でいくつかの関連遺伝子が報告されています。
現在、自閉症スペクトラム障害だけでなく他の発達障害についても関連する遺伝子や環境要因に関して、それぞれ研究が進められていますが特定には至っていません。
一方で、かつて言われていた「親のしつけ方・育て方が悪い」「親の愛情不足」といった心因論は現在では医学的に否定されています。
発達障害の子どもはどんなことに困っているの?
発達障害の症状や困りごとは一人ひとりの特性や年齢にもよりますが、
以下が発達障害の子どもによく見られる困りごとです。年齢にます。
見合わない行動や発達の遅れがある場合、また本人や家族が強く困っている場合などには、専門機関への相談をおすすめします。